Anthropic 公式 Opus 5 プロンプトガイド — 足すのではなく、削る
- Anthropic は公式ドキュメントに 1 ページを新設し、手持ちのプロンプトを Opus 5 に移すとき、どの行を直すべきかを説明しています。最も意外なのは、8 セクションのうち 3 つが「削る話」だという点です
- 真っ先に削るべきは「最後に検証ステップを入れて」「サブエージェントで再チェックして」といった一文。Opus 5 は自分で検証します。前世代から引き継いだこれらの指示を残すと過剰検証になり、トークンを余計に食うだけで品質は変わりません
- コードレビューのプロンプトは逆に書きます。「重大な問題だけ報告して」「保守的に」と書くと、そのとおりに受け取って報告が減る可能性があります。示された解決策は、すべて報告させて、絞り込みは別のラウンドで行うこと
- 前世代より口数が多く、実況したがり、仕事をサブエージェントに投げたがります。ドキュメントにはそのままコピーできるプロンプトが 8 本あり、1 本が 1 つの癖を抑えます
- 思考はデフォルトでオンです。オフにできるのは
high以下のみ(lowからmaxが思考の強さを表す 5 段階の名前で、対応表は第 8 節にあります)。xhighとmaxで思考を切ると 400 エラーが返ります
削り方を教えるドキュメント
システムプロンプトに「タスクが終わったら検証ステップを 1 つ追加して」と書いてあるなら、Claude Opus 5 に切り替えた瞬間から、その一文は余計なお金を払わせています。
Anthropic は Opus 5 専用のプロンプトガイドを 1 ページ用意しました。8 セクション、英語で 1500 語あまり。そのうち 3 セクションが、プロンプトから何かを取り除く話です。
サブエージェントを使って結果を再チェックする。
回答する前にもう一度答えを確認する。
本当に分割して並列化できる大きな仕事だけサブエージェントに任せる。
頼まれたことを頼まれた範囲で届け、自分から広げない。
方向が反転した理由は、込み入っていません。ここ数年のプロンプトエンジニアリングの主流は「足す」でした。モデルが自己チェックしないなら、させる一文を書く。中途半端なものを出すなら、最後までやらせる一文を書く。検証しないなら、サブエージェントを付けて再チェックさせる。どの文も、弱点を埋めるためのものでした。
Opus 5 はその弱点の一群を埋めました。自分で検証しますし、途中で投げ出さずタスク全体を仕上げます(関数名だけで中身が空のプレースホルダーコードを残しません)。自分の間違いに気づけば戻って直します。かつてモデルを追い立てていた文は、いまや本人が最初からやることを追い立てています。
この種の指示は Claude Opus 5 に過剰検証をさせます。削除すれば無駄なトークンを減らせて、品質は落ちません。Prompting Claude Opus 5 · Anthropic
はっきりさせておくと、このページは Opus 5 のリリース告知とは別物です。告知はモデルの強さ、価格、乗り換える価値の話。このページが扱うのは一点だけ — 移行後、Opus 4.7 や 4.8 の時代から引き継いだプロンプトのどの行を直すか、です。
まず削る — 自分で検証させる文すべて
このドキュメントで最初にやるべきことです。削る文は 2 種類あり、どちらも見覚えがあるはずです。
1 つ目はタスク単位の検証要求。典型は「単純でないタスクにはすべて最終検証ステップを含める」「サブエージェントで検証する」。2 つ目は回答単位の自己チェック要求で、「もう一度答えを確認する」「回答前に再確認する」といった書き方です。どちらも処置は同じ — 削除します。
削る対象はプロンプトの文だけではありません。ドキュメントはわざわざ触れています — 旧モデル向けに組んだ処理の足場(harness)に検証工程が独立して入っているなら、それも一緒に外すこと。プロンプトはモデルに向けた言葉、足場は外側に書いたフローのコードで、いつモデルを呼ぶか、何回呼ぶか、毎回何を渡すかを管理します。両方の層を掃除する必要があります。
このページは全体が API 呼び出しの視点で書かれており、扱うのはシステムプロンプトと外側の足場です。Claude Code で使っているなら、対応する場所は CLAUDE.md と自作のスキルファイル。当てはまる書き方はこんな形です。「コードを直したらサブエージェントに再チェックさせて」「各ステップが終わったら自分で検証してから次へ」「納品前にすべての変更を再確認して」— この 3 文は今すぐ削るべきです。この層はドキュメントには書かれておらず、同じモデル・同じシステムプロンプトという前提から当サイトが推したものです。
レビュープロンプトに「重大なものだけ」と書くと、本当に減る
最も直感に反し、自分の自動化フローで最も踏みやすい落とし穴です。
まず前提。Opus 5 はコードレビューの精度も網羅性も高く、1 ラウンドで本物のバグを拾う割合が高い。しかも多く挙がった分の大半は本物の問題で、誤検出の水増しではありません。実用上さらに効くのは、この精度が思考の強さを下げても保たれる点です。だから安いレベルでざっと 1 周スキャンし、あとで詳しくもう 1 周、という進め方ができます。
問題は絞り込み条件の書き方です。プロンプトに「重大度の高い問題だけ報告して」あるいは「保守的に」と入っていると、Opus 5 は文字どおり実行する可能性があり、結果として報告が減ります。示された解決策は、絞り込みをプロンプトの外に出すこと — すべて報告させ、別ラウンドで絞ります。