ツール解説 · 小互解読

Anthropic、Claude Code のシステムプロンプトを8割削減 — 新しいコンテキストの書き方6カ条

ルールを判断に、サンプルをインターフェースに。あるツールの説明は約9100文字から、一文+列挙型ひとつまで圧縮された
1分でわかる
  • あなたが CLAUDE.md やスキルに書いた「絶対に〜するな」は、今はむしろ足を引っぱっている可能性があります。Anthropic は Claude Code のシステムプロンプトを8割以上削りましたが、コーディングのベンチマークでは損失は検出されませんでした
  • かつてルールを固定したのは、旧世代モデルの判断力が足りなかったからです。一部のケースでは間違うと分かっていても、そうするしかなかった。あの「コメントは書かないのが既定」は、いま一文のガイドに置き換わっています — 書くコードは、周囲のコードのように読めること
  • 制約を1本足すのはタダではありません。システムプロンプトが「必要に応じてドキュメントを残せ」、スキルが「コメントを付けるな」、あなたが「前と同じ感じでやって」— この3つが同じリクエストに同時に現れます。Claude はまず矛盾を調停してから動くことになります
  • TodoWrite のツール説明は約9100文字から、一文+3値の列挙型+制約1本まで圧縮されました。自分のスキルや CLAUDE.md を軽量化したいなら、セッション内で /doctor を実行してください
⚑ 素材は Anthropic の Thariq が自社プロダクトの改修過程を語ったものです。「8割以上を削除」「コーディングのベンチマークで測定可能な損失なし」は同社自身の言い方で、原文には文字数換算かトークン換算かの明示はなく、どのベンチマークかも挙げられていません。本文中の指示衝突の図は、Anthropic 自身が例示だと注記しており、実際のプロンプトの原文ではありません。
1 直感に反する数字

Claude Code のシステムプロンプトを8割削った

Anthropic の技術チームメンバー Thariq Shihipar(@trq212)が X に長文を投稿し、Claude Code で最近やったことを明かしました。Opus 5 と Fable 5 という新世代モデルに向けて、システムプロンプトを8割以上削除した。コーディングのベンチマークでは、損失は検出されなかった。

Claude Code のシステムプロンプト
削られた部分:固定された禁止事項、繰り返しの念押し、使わないときも場所を取る手順説明(本サイトが本文の6カ条から整理)
残った
削減比率は原文の「over 80%」に沿った図示です。文字数換算かトークン換算かは Anthropic は公開していません。

まず、削られたものが何かをはっきりさせます。あなたが Claude に一言送ると、Claude が読むのはその一言だけではありません。システムプロンプト、入れたスキル、プロジェクト内の CLAUDE.md、Claude 自身が保存した記憶、@ で持ち込んだファイル — 全部がひとかたまりになって送られ、あなたが打った一行はそのうちのごく一部です。この大きなかたまりをどう組み立て、いつ入れるか。Anthropic はそれをコンテキストエンジニアリングと呼んでいます。

プロンプトはあなたが頼んだ一件、コンテキストはあなたが差し出す作業台まるごとです。

プロンプトを書くこととは根本的に違います。プロンプトは一回きりで、自分が今回何を求めているか分かっている。コンテキストは汎用で、中身の分からない何千何万というリクエストに応えなければならないので、具体的には書けません。難しさはここにあります — まだ存在しない問題のために、指針を用意しておく必要があるのです。

2 ルール → 判断

かつて固定するしかなかったルールが、いまは削れる

実物のルールを1本見てみます。Claude Code 初期のシステムプロンプトでは、コメントについてこう書かれていました。

旧 · システムプロンプト原文
In code: default to writing no comments. Never write multi-paragraph docstrings or multi-line comment blocks — one short line max. Don't create planning, decision, or analysis documents unless the user asks for them — work from conversation context, not intermediate files.
コードを書くときはコメントを書かないのが既定。複数段落の docstring や複数行のコメントブロックは絶対に書かない、短い1行まで。ユーザーが求めない限り、計画・決定・分析のドキュメントは作らない。会話のコンテキストから作業し、中間ファイルを作らない。

当時、このルールは必要でした。Claude Code が出たばかりの頃、いちばん大事だったのはモデルにやらかさせないこと — たとえばファイルを消させないことです。だからかなり強い指針を出す。その指針が常に正しいわけではないとしても。コメントの件はまさに「常に正しくない」側でした。自分でドキュメントを書く習慣のあるユーザーもいるし、とても複雑なコードには複数行のコメントブロックを付けるべきです。ただ当時のモデルは、こう止めておかないと、書くコメントの大半が間違っていた。一部の人を巻き込むと分かっていても、そう決めるしかなかったのです。

新世代モデルの判断力は足りるようになったので、もう巻き込む必要はありません。同じことが、いまのシステムプロンプトでは一文だけです。