プロダクト発表 · 小互解読

LangChainがOpenWiki 0.1.0を発表——AIエージェントに能動的な記憶を装備、Gmail・Notion・Git・Xを自動取得してローカルwikiを生成

手動でコンテキストを与える必要なし、ローカルMarkdown wikiが設定した頻度で自動更新される。Slackコネクタも近日公開予定
速覧
  • LangChainがOpenWiki 0.1.0を発表。元々はコードベースのドキュメント生成専用だったオープンソースCLIツールを、汎用の記憶フレームワーク「OpenWiki Brains」へと拡張した。
  • 新機能「Personal Brain」モードを追加:Gmail、Notion、Gitリポジトリ、Twitter/X、Hacker News、Web検索の6種類の情報源に接続し、エージェントが呼び出せるローカルMarkdown wikiを自動生成する。
  • 更新はローカルの定時タスクで完結する(macOSではLaunchAgentとしてインストール)。ユーザーが設定した頻度で新しい情報を取得しwikiを更新するため、サーバーの展開や常駐プロセスは不要。
  • 元々のコードドキュメント機能は「Code Brain」に改名され、Personal Brainと並存する。「wikiを生成・維持する」という発想は共有しつつ、対象とする用途は異なる。
  • プロジェクトはオープンソース、npm install -g openwikiでインストール可能。公式は次のステップとしてSlackコネクタ、LangSmithトレース、全文/セマンティック検索、MCPサポートの追加を予告している。
本稿の内容はLangChain公式ブログの発表リリースに基づいており、プロダクト機能の説明やロードマップの予告はすべて公式の見解です。
1背景

LangChainが今回やったこと

LangChainは先日OpenWiki 0.1.0を発表し、これまでコードベースのドキュメント生成にのみ使われていたオープンソースCLIツールOpenWikiを、汎用的な業務シーンに向けた「能動的記憶」モードOpenWiki Brainsへと拡張した。

OpenWikiは元々コードベース向けのドキュメントツールだった。リポジトリ内で実行するとwikiを生成し、コードが変化するたびに自動で最新の状態を保つ——これがLangChainが当初このプロジェクトを作った理由でもある。今回の0.1.0では、チームは同じ「wikiを生成・維持する」という発想をコードリポジトリの外に持ち出し、執筆、リサーチ、顧客対応といったより日常的な業務シーンに使えるようにした。

OpenWikiは今、Gmail、Notion、Gitリポジトリ、Twitter/X、Hacker News、Web検索という6種類の情報源に接続でき、そこにある情報を整理してローカルのMarkdown wikiにまとめ、エージェントがいつでも呼び出せるようにする。このwikiは設定した頻度で自動更新されるため、手動で整理・更新する必要はない。
第一弾で一気に6種類の情報源コネクタを実装。プロジェクトはオープンソースで、npm install -g openwikiでインストールできる。Slackコネクタもすでにロードマップに載っており、公式は近日公開と述べている。
OpenWiki Brains
LangChain公式発表の画像。OpenWiki Brainsの全体コンセプトを示している。出典:LangChain Blog。
2比較

今のエージェントの記憶は、あなたが「言ったこと」しか覚えていない

Claude、ChatGPT、LangSmith Fleetといったアシスタントは、いずれも標準で記憶機能を備えており、あなたが伝えたことを覚えて、その後の会話で活用できる。この種の記憶は便利だが、あなたが自分から口にした、あるいはエージェントが会話から推測できる内容しかカバーしない。
組み込み記憶(Claude / ChatGPT / LangSmith Fleet など)
  • あなたが明確に伝えた事実や好みを覚える
  • あなたとの会話から情報を推測できる
  • あなたが自分から口にする、または内容を会話に貼り付けることに依存する
OpenWiki Brain(能動的記憶)
  • Gmail、Notion、Git、X、Hacker News、Web検索などの情報源に接続
  • あなたが設定した関心事に沿って、これらの場所から主体的に関連情報を探す
  • ローカルwikiに自動で書き込む。あなたが手動で伝えたり貼り付けたりする必要はない

例えば、Notionに新しく追加された会議メモ、メールボックスに届いた役立つメール、Twitter/Xでブックマークした1件のツイート——たとえこれらの内容を一度も会話に貼り付けていなくても、OpenWiki Brainは主体的にそれらをローカルwikiに取り込み、後で呼び出せるようにする。

3仕組み

Personal Brain:エージェントに「覚えるべきもの」を自分で探させる方法

Personal BrainはOpenWiki 0.1.0における主力の新モードで、この能動的記憶のローカルwikiを生成する役割を担う。設定時、OpenWikiはまず「このbrainは何を重点的に気にかけるべきか」を尋ねてくる。
コアメカニズム

公式は汎用的なパーソナルアシスタント向けのデフォルトfocus promptを用意しているが、自分で書き換えることもできる。例えば、今取り組んでいるプロジェクト、リサーチ中のAI関連トピック、対応中の顧客の背景情報、ブックマークしたリンク、あるいは特定のNotionワークスペース内の最近のメモなどに絞ることもできる。この一文は、OpenWikiが新しい情報を取り込む際に、何を残し何をスキップするかを決める。

情報源の設定 + 一文のfocus prompt
コネクタが生データを取得
エージェントがfocus promptに沿って抽出
ローカルMarkdown wikiに書き込み
エージェントが呼び出し時にwikiを読む

取得した生データはまずローカルの~/.openwiki/connectors/<connector>/raw/ディレクトリ(connectorの部分にコネクタ名が入る)に落ち、この抽出ステップを経て~/.openwiki/wiki/に書き込まれ、エージェントがその後のセッションでコンテキストとして読み込めるようになる。

4情報源

6つの情報源、2種類の取得方法

第一弾で6つのコネクタが公開された:Gmail、Notion、Gitリポジトリ、Twitter/X、Hacker News、Web検索。ただし、これらが情報を取得する仕組みは同一のロジックではない。
OpenWiki Brainコネクタのアーキテクチャ図
LangChain公式発表の画像。OpenWiki Brainが6種類の情報源に接続してローカルwikiを生成する全体アーキテクチャを示している。出典:LangChain Blog。

確定的なコネクタは、「最新のものをちょうだい」という問いに明確な答えがある:受信トレイの最新メール、タイムラインの最新ツイート、リポジトリの最新コミット——時系列で単純に取ってくればいい。もう一種類のコネクタはそう単純ではない:Notionワークスペースやweb検索には統一された「最新」という概念がなく、あなたが設定した関心事を携えたエージェントに、自分で探して関連性を判断させる必要がある。

たとえるなら

前者は「最近の着信」リストを直接引っ張ってくるようなもの、後者は秘書があなたの関心事を持ってキャビネットの中から関連資料を探しに行くようなものだ。

設定した頻度で自動更新 ローカルWiki Markdown · 平文保存 Gmail 最新メールを取得 Twitter / X 最新の動向を取得 Hacker News 最新投稿を取得 Gitリポジトリ 最近のコミットを確認 Web検索 目的に沿って検索 Notion 目的に沿って検索
確定的コネクタ:最新データを直接取得 エージェントが自分で探す:設定した目的に沿って検索
確定的コネクタ · 最新データを直接取得
  • GmailGmail APIを通じてOAuthユーザー資格情報で取得最新のメールを取得
  • Twitter / Xメインタイムライン、個人ツイート、メンション、ブックマーク、リストのツイートなど複数の範囲に対応最新のタイムラインやブックマークを取得
  • Hacker NewsHacker Newsの公開フィードと検索APIを使用。アカウント認可は不要最新の投稿を取得
  • Gitリポジトリローカルに設定されたリポジトリパスを読み取り、簡潔なリストを出力最近のコミット履歴を確認
エージェントが自分で探す · 目的に沿って検索
  • Notion公式ホスト型のNotion MCPサービスに接続。Notion OAuthログインが必要で、トークンを直接貼り付けるのではない関心事を携えてワークスペース内を検索
  • Web検索内部ではLangChainを通じてTavilyを呼び出す。TAVILY_API_KEYの設定が必要関心事を携えてWebを検索
5鮮度維持

この記憶をどうやって常に最新に保つのか

OpenWikiはローカルの定時タスクによってwikiを常に最新の状態に保つ。常駐するサーバープロセスに依存しているわけではない。wikiは自分のマシン上に保存されているため、更新方法はマシン上のどのローカルツールとも同じ——時間になったら一度実行し、新しい情報を取ってきて、終わったら終了する。

macOSでは、この定時タスクはシステム標準のLaunchAgentとしてインストールされる:追加のサーバーを立てる必要も、プロセスをバックグラウンドに常駐させる必要もなく、時間になると取得・更新スクリプトを自動実行し、終わったら終了する。ログはローカルに書き込まれる。プロセス全体は情報源を一度設定するだけでよく、あとはバックグラウンドが頻度に応じて自動的に維持してくれる。

設定した頻度でトリガー
設定済みのコネクタを巡回
新しいデータを取得
ローカルwikiを更新
この一回のラウンドが終わるとタスクは終了し、設定した次の時間になると再び始まる。この繰り返しにより、サーバーを常駐させる必要がない。
6位置づけ

元々のコードドキュメント機能とはどういう関係か

OpenWiki元々のコードベースドキュメント機能はそのまま存在しており、今はCode Brainと名前を変え、新たに追加されたPersonal Brainと並列する。どちらかがどちらかを置き換えるわけではない。
Code Brain(既存)
  • 特定のgitリポジトリの中で動作する
  • コード構造、コミット履歴、ファイル間の関係、コーディング規約に注目する
  • 生成したドキュメントをリポジトリのopenwikiディレクトリに書き込み、AGENTS.md、CLAUDE.mdに参照ブロックを挿入する
Personal Brain(新規追加)
  • Gmail、Notion、Git、X、Hacker News、Web検索など複数の情報源に接続
  • プロジェクトやリサーチのトピック、顧客の背景情報など、ツールをまたいだ業務コンテキストに注目する
  • 生成されたwikiはローカルの~/.openwiki/wiki/ディレクトリに保存される

両者が使うコネクタ、プロンプト、更新方式はそれぞれ異なるが、根底にあるのは同じ発想だ:エージェントがいつでも呼び出せるコンテキストを生成・維持してあげること。

7現状

今すぐ手に入るもの

今実際に手に入るものとして、公式は以下を挙げている。
  • 生成されるwikiは平文のMarkdownファイルであり、ファイルシステムで直接閲覧・検索・バージョン管理に組み込むことができる。専用のインターフェースに閉じ込められることはない。
  • 同じコネクタを複数インスタンス設定できる。例えば、テーマの異なる2つのweb検索ソースをそれぞれ独立して取得・更新させることが可能。
  • すでにAGENTS.md、CLAUDE.mdをエージェント向けの指示ファイルとして使っている開発者の場合、Code Brainがこれらのファイルにwikiを指す参照ブロックを自動で挿入するため、導入コストが低い。
  • wikiを動かすモデルは自分で選べる:OpenAI(デフォルトはgpt-5.6-terra)、Anthropic、OpenRouter、Fireworks、Baseten、および任意のOpenAI互換エンドポイントを標準サポート。ChatGPTのサブスクリプションを持っている場合は、ブラウザから直接ログインしてサブスクリプションの利用枠で動かすこともでき、APIを別途購入する必要がない。
  • Code BrainにはGitHub Actions / GitLab CI用のワークフローがすぐ使える形で用意されている:コードが変化するとドキュメントを自動更新し、自動でPRやマージリクエストを開く。
Personal Brainのインストールと初期化
npm install -g openwiki@latest
openwiki personal --init
8展望

何が足りないか、公式自身も語っている

現時点でのこの仕組みの限界について、公式自身がはっきりと述べている。
6個
第一弾でサポートされた情報源コネクタ:Gmail、Notion、Gitリポジトリ、Twitter/X、Hacker News、Web検索
0.1.0
今回発表されたOpenWikiのバージョン番号。純粋なコードドキュメントツールからPersonal Brainという汎用記憶モードへ正式に拡張したことを示す
6社
標準サポートされるモデルプロバイダー:OpenAI(デフォルト)、Anthropic、OpenRouter、Fireworks、Baseten、および任意のOpenAI互換エンドポイント
Slack
公式が予告する次のコネクタ。現時点では未公開
  • コネクタの追加:Slackが近日公開予定。その後はLangSmithの実行トレース、Claude/Codexのローカルセッションなどの情報源も追加を計画している。
  • 検索性能の向上:現状のbrainはファイルシステム上の1つのwikiにすぎない。公式が次に試そうとしている方向性は全文検索、MCP、セマンティック検索、さらにエージェント自身に検索させるというアプローチだ。
  • フォーマットの向上:Markdownは出発点にすぎない。ページ間の相互リンクや、より豊かなナレッジフォーマット(Googleが提唱するOpen Knowledge Formatのような方向性を含む)も検討範囲にある。
組み込みの記憶はエージェントがあなたの言ったことを覚えるのを助け、OpenWiki Brainはエージェントが、あなたがすでに使っているそれらの場所で起きたことを覚えるのを助ける。LangChain Blog『Introducing OpenWiki Brains』、2026-07-10
本稿はLangChain公式ブログの記事「Introducing OpenWiki Brains: Proactive Memory for AI Agents」(2026-07-10公開)およびGitHubリポジトリlangchain-ai/openwikiのREADMEをもとにまとめたものです。原文はベンダーの発表リリースであり、プロダクト機能の説明やロードマップの予告はすべて公式の見解です。