深度・小互解読

OpenAI社員が明かすGPT-5.6の使い方——使用量無制限でも、全部を最強モードにはしない

ベンチマーク不正疑惑への質問には正面から答えず、デスクトップアプリ統合には既存ユーザーから抗議が殺到。チームは「正直、まだ模索中」と認めた。

要点
  • OpenAI公式アカウントが2026年7月10日、r/codexで1時間のAMAを実施。8名のチームメンバーが約37件の質問に回答し、コミュニティはr/codex史上最も盛り上がった投稿だと評した。
  • Codexの週間利用者数は現在500万人超で、3ヶ月前の2倍。3ヶ月間で計150件の機能改善をリリースし、同時期にGPT-5.6ファミリー(Sol・Terra・Lunaの3モデル)を投入した。
  • 複数のOpenAI社員が、使用量無制限という前提のもとで自分がどうモデルを選んでいるかを公開した。大半のタスクはSol Mediumで済ませ、曖昧・複数モジュール横断・高リスクなタスクのときだけSol Ultraとより高い推論レベルに上げるという。
  • 第三者機関METRが記録した「過去最高のエージェント型ベンチマーク不正率」についての質問に対し、研究員はそれが現実の懸念であると認めたものの、具体的な数字には答えず、訓練面でどんな修正を行ったかについても説明しなかった。
  • CodexとChatGPTを同一のデスクトップアプリに統合したことで、大量のユーザーから抗議が起きた(有料機能が消えた、チャット入口がポップアップの奥に埋もれた)。チームは異例にも「まだ模索中」だと率直に認めた。
⚑ 本記事はOpenAI公式アカウントがReddit r/codexで実施したAMAの記録をもとに整理したもの。週間アクティブユーザー数、機能リリース件数、モデルのベンチマーク結果などのデータはすべてOpenAI側の自己申告であり、第三者による検証は経ていない。質問中で引用されたMETRの不正率データは第三者評価機関によるもの。
モデル選定戦略 ロングコンテキスト Proのトレードオフ 開発の裏側 不正疑惑への質問 アプリ騒動 利用量の算定基準 ★105いいね ロードマップ ★90いいね AMA開始 AMA終了
横軸はこの質疑応答が進んだ8つのトピックブロックを示す。ハイライトされた2つのノードは、会場全体で最もいいねが多かった2件の質問——利用量の算定基準と価格設定(105いいね)、Windowsサンドボックス体験(90いいね)。
1AMA現場

Codexは今、どれだけの人が使っているのか

OpenAI公式アカウントは2026年7月10日、Reddit r/codexで1時間にわたるAMAを実施し、Codexチームの8名がその場でコミュニティからの質問に答えた。

この質疑応答では、OpenAI社員が使用量無制限という前提のもとで、Sol・Terra・Lunaの3モデルと4段階の推論強度をどう使い分けているかを、初めて体系的に公開した。

コミュニティのモデレーターは後日、これがr/codex史上最も盛り上がった投稿だったと確認した。8名のチームメンバーがその場で約37件の質問に回答し、モデル選択、コンテキストウィンドウ、プロダクトの意思決定、社内の開発手法から、デスクトップアプリの改修に対するユーザーの不満まで幅広くカバーした。
同じ質疑応答の場で、第三者評価機関METRが記録したエージェント型ベンチマークの不正率についての質問に対し、チームは具体的な数字には答えず、訓練面でどんな変更を行ったかについても説明しなかった。
500万+
Codexの週間利用者数。3ヶ月前の2倍
150件
過去3ヶ月にリリースされた機能・改善の件数
372k
GPT-5.6 Solのコンテキストウィンドウ(トークン数)。前世代は272k
3段階
GPT-5.6ファミリーの構成:Solが旗艦モデル、Terraはより高速・低コスト、Lunaが最軽量
2選定の実践

社員は自分ではどうモデルを選んでいるのか

OpenAI社内でのCodex利用は使用量無制限とされている。8名の社員のうち4名が同じ質問を受けた——使用量に上限がないなら、あなた自身はモデルと推論強度をどう選んでいるのか。

プロダクトマネージャーのsimpsokaの答えはこうだ。何を選ぶかはタスクそのもの次第であり、使用量が無制限だからといって最強モードをそのまま使うわけではない。彼女はSol Ultraをずっと使い続けることはなく、スピードのために切り替えるという。素早い編集、ちょっとした様子見のようなタスク、テンポの速い反復作業にはより速く軽い選択肢を使い、Sol Ultraは曖昧で、複数ステップにわたり、リスクの高いタスクのために取っておく——その分の深さのために待つ価値があるからだ。彼女は推論強度も、もう一つの調整可能なつまみとして扱っている。Codexに対して、速く率直にやってほしいのか、それともじっくり考えてほしいのかを直接伝えることが多いという。デフォルトでSol Ultraを使っていても、モデルは通常、簡単な問題に対して考えすぎることはなく、タスクが本当に必要とするときにはより深く考える。

社内での実践基準

そのまま使える等級表

タスクの種類モデルと推論強度
局所的な微調整、簡単な質問、ドキュメント整理、ちょっとした様子見より速く軽いモデル、低推論
再現手順が明確な小さなバグ、慣れたコードベースでの単純な機能追加通常のSol、中推論
曖昧なバグ、不慣れなリポジトリ、複数モジュールにまたがるリファクタリングSol、より高い推論
移行作業、セキュリティに関わる変更、本番障害、コストに敏感な変更Sol Ultra、高推論。通常はまず計画を立て、検証し、テストを実行する
長時間の調査や/goal系の作業より強力な推論。いつ自由に調べさせ、いつ実行を引き締めるかを明確に線引きする

simpsokaは付け加えて、チームも具体例つきのドキュメントを出すべきだと考えており、それに取り組む予定だと語った。

他の3名の社員の実際の使い方

社員デフォルトの使い方いつグレードアップするか
romainhuet(開発者体験担当)大半のことはSol Mediumで済ませ、コーディング以外の素早いタスクにはTerraを使う本当に難しいタスクにはUltraを、サブエージェントにはLunaを組み合わせる
TedSanders基本的にSol mediumかSol highで、めったに変えないタスクが長時間かかる場合やミスを避けたいときはxhighに切り替えるが、評価結果ではより高い推論レベルの収益逓減がかなり顕著だという
js_dom(開発者体験担当)新しいスライダーは大半の段階をSolの異なる推論強度にマッピングしている最低段階はTerraに落ち、参考画像を使うUI作業ではSolを優先する
romainhuetが貼った新モデルスライダーUIのスクリーンショット
romainhuetがAMAの場で貼った新しいモデル選択スライダーUIのスクリーンショット。1本のスライダーでSol・Terra・Lunaの選択を連続的な1つの操作に簡略化している。画像出典:Reddit r/codex AMAのコメント欄。