トップPMのAIレバレッジ・ラダー指南:PM生産性向上の2つの道筋、そのまま使える実戦プロンプト3本付き
3万人以上のPMを指導してきた講師がまとめた2本のAIレバレッジ・ラダー——コピペからエンドツーエンド納品まで、Webプロトタイプから本番PRまで。
- Colin Matthewsはプロダクトマネージャーによる AI の使い方を、個人レバレッジ・プロダクトレバレッジ・システムレバレッジの3種類に分け、それぞれに3段階を設定した。段階が上がるほど、AI が代わりにやってくれる範囲が広がり、あなたが確認すべき量は減っていく。
- 個人レバレッジ:レベル1はAIが下書きするだけで、あなたが手動でコピペする。レベル2はAIが財務モデルのような成果物を直接生成する。レベル3はAIをPostHogなどの実ツールに接続し、エンドツーエンドで1つのタスクを完遂させる。
- プロダクトレバレッジ:レベル1はWebプロトタイプツールでアイデアを素早く検証するが、コードは使い物にならない。レベル2はClaude Code / Codexで実際のコードベースに直接つないでプロトタイプを作る。レベル3はagentに本番環境にマージ可能なPRを直接提出させる。
- 重要な段階には筆者が実際に使った生のプロンプトが添えられている——コスト比較モデル、PostHog継続率分析、プロトタイプ専用コードベースの構築。本記事は一字一句そのまま貼り付けており、そのままコピーして使える。
- フレームワークの3本目、システムレバレッジは冒頭で定義されただけで、本文で詳しく展開されたのは個人レバレッジとプロダクトレバレッジの2本のみ。システムレバレッジは3段階への分解が示されていない。
PMのAI活用は、実は3本のはしごを登るようなもの
Lenny's Newsletterは2026年6月30日にゲスト記事を公開した。筆者のColin Matthewsは長年プロダクトリーダーを務め、連続起業家でもあり、独力で10以上のSaaSプロダクトをローンチしてきた。この記事は、彼がLennyと共同で開講するPMコースのローンチに合わせて書かれたものだ。
Colin Matthewsはプロダクトマネージャーによる AI の使い方を3本のはしごとして描いた——個人レバレッジ、プロダクトレバレッジ、システムレバレッジ。それぞれレベル1からレベル3まで登っていく。上に行くほど、AI があなたの代わりにやってくれる割合は増え、あなたが手を動かして確認すべき量は減っていく。
なぜ読む価値があるか:筆者はこれまでに3万人のプロダクトマネージャーを指導しており、クライアントチームはOpenAI、Google、Stripe、Figma、Microsoftに及ぶ。本人も独力で10以上のSaaSプロダクトをローンチしてきた。彼が語っているのは自ら実践してきた使い方であり、各レベルに実際のプロンプトが添えられている。
3種類のレバレッジはそれぞれ担う役割が異なる。個人レバレッジはあなた自身の仕事上のタスクをこなす手助けをする。プロダクトレバレッジは正しいものをより速く届けさせる。システムレバレッジはAIの使い方を再現可能な手順に落とし込み、安定して高品質な結果を得られるようにする。以下のマトリクスは本文全体の骨組みで、横軸が3つのレベル、縦軸が3種類のレバレッジだ。
補助役
タスクを渡す
丸ごと任せる
レバレッジ
レバレッジ
レバレッジ
筆者はこのはしごについて重要な注意点を添えている——すべての作業を最高レベルまで登る必要はない。どのレベルが最適かは、目の前の作業でAIをどこまで深く使うべきかによって決まる。以下は彼の記事に載っている元のフレームワーク図だ。
これはあるカテゴリの仕事において「AIをどこまで深く使っているか」を測る物差しだ。レベル1はAIが補助役で、あなた自身が手を動かす。レベル2はタスクを渡し、AIが出した結果をあなたが確認する。レベル3はAIが複数のステップに分けてタスク全体を完了させ、結果まで自己確認する。登れば登るほど、空く時間は増えていく。
下書きを手伝ってもらうことから、成果物を直接渡してもらうことへ
個人レバレッジは誰もが最もよく使う場面だ——文書を書く、リサーチする、簡易な成果物を作る。レベル1とレベル2の違いは一言で言える。レベル1はAIがテキストをくれるだけで、あなたがコピペして自分で整える。レベル2はAIが使える形のものを直接くれる。
レベル1:AIがテキストを書く手伝いをする
PRD、Jiraチケット、メールなどをAIに手伝ってもらい、その回答を他のツールにコピペする。多くの人はこのレベルで止まっている。筆者の例はClaudeにPRDの下書きを手伝ってもらうというもの。AIはあなたの会社や「何が良いPRDか」についてほぼコンテキストを持っていないため、「使える」レベルになるまで何度も対話を重ね、Google DocsやWordに貼り付けて手直ししてから、ようやくチームに送る勇気が持てる。
レベル2:AIが成果物を直接生成する
このレベルではAIに「実際の作業」をさせ、スライドやExcelモデル、簡易プロトタイプといった実物を生成させる。筆者の実例は、Claudeにコスト比較モデルを作らせるというものだ——agentを自前で構築・ホスティングする場合と、Vercelのようなマネージドサービスを使う場合とで、それぞれいくらかかるかを比較する。以下は当時彼が実際に使ったプロンプトで、そのままコピーして自分のケース向けに書き換えられる。
Create a model that represents costs if we build and host ourselves vs. using managed agents. Do research on the engineering time saved and the compute costs in self-hosted vs. managed. Look at other vendors, like Cloudflare, Vercel, or E2B that provide sandboxes for agents for pricing. Demonstrate both the cost of the pilot and the cost at scale in the model, assuming we have 5M+ agent instances running annually (where an agent instance is per hour).
筆者は注意を促している——このレベルの成果物もまだ大幅な修正が必要だが、「AIからテキストをコピーして別のドキュメントに移す」段階よりは一歩前進している。AIが渡してくるのは成果物であり、もはや編集待ちの一段落のテキストではない。
AIに実ツールを接続し、タスク全体を自分でやり切らせる
これが個人レバレッジの最高段階であり、本記事全体の最初の重要ポイントでもある。よく使うプロダクトをMCP経由でAIに接続すれば、AIは自分でデータを調べ、資料を取ってきて、以前は同僚に振っていたようなタスクをエンドツーエンドでこなせるようになる。カギとなる動作はただ1つ——AIをあなたの実ツールに接続することだ。
これはAIが外部ツールのデータを直接読み書きできるようにする標準インターフェースだ。以前はPostHogのデータやFigmaのデザイン案を手動でコピペしてAIに与える必要があったが、MCPを導入すればAIが自分でドアを開けて取りに行ける。AIに万能鍵を渡すようなもので、あなたはもう運び屋役をしなくていい。
接続方法:Claude Code、Codex、CursorはいずれもMCP経由でFigma、Amplitude、PostHog、Pendoなどのツールに接続できる。やり方はシンプルで、あなたのプロダクトのコネクタ・マーケットプレイスでツールを追加するだけだ(Claude、ChatGPT、Gemini)。しかも一度設定すればずっと有効で、以後は触る必要がない。
Figma · Notion
実例:ClaudeをPostHogに接続し、継続率分析を自分でやり切らせる
筆者は架空のプロダクトStride(Stravaのクローンのようなフィットネスアプリ)を例に挙げる。彼はある継続率分析をしたかった——ソーシャルシェア機能を使ったユーザーは、使っていないユーザーより30日継続率が高いかどうか。彼はClaudeをプロダクト分析ツールPostHogに接続し、一言で分析を走らせてレポートまで出させた。
以前ならこれは会議と会議の合間を縫ってこなしていた作業だったが、今はタスク全体をAIがエンドツーエンドで完了させる。成果物はデータソースの引用付きHTMLレポートで、リンクをクリックすればPostHogに戻って元データを確認できる。
Use PostHog to check if users who use social share features have a higher 30d retention than those who don't. Show me an html doc as a final output visualizing cohorts and any other useful data. Cite all your sources so I can validate.
筆者はプロンプトの中の cite your sources(データソースを明記せよ)という一文が重要だと強調している。これを加えることで、結果が正しいかどうかを簡単に検証できる。この例ではClaudeがPostHogの元データを指すリンクを直接提示している。
接続権限を得たら、まず何を練習すべきか
ツールを接続し終えたら、筆者はまず日常的なタスクを1つ選んで練習することを勧めている。以下の4つは彼が挙げた、すぐに着手できる高レバレッジなタスクで、そのまま列挙する。
- Analyzing how a launch went by reviewing recent customer tickets and online sentiment - Checking how many users actually use a feature through product analytics events - Summarizing a recording from a customer call and creating a prototype based on their feedback - Updating your next sprint based on a change in roadmap priorities
最初は結果に大方がっかりするだろうが、それはモデルがまだあなたの基準を知らないだけだ。満足いくまでイテレーションを続け、そのうえで同じ会話の中でAIにこの流れをskill(スキル)としてロックダウンしてもらえば、次回からワンクリックで再利用できる。この一連の流れは、PRD、ロードマップ、マーケティング素材、リサーチ分析、プロトタイプ、Figma案など、ほぼあらゆるものについてまずまずの初稿を出してくれる。
個人レバレッジの3段階、成果物は結局どう違うのか
- 編集待ちのテキスト、しかも別の場所にコピペする必要がある
- 形になった成果物(財務モデルなど)だが、大幅な修正が必要
- データソース引用付きの完全な継続率分析レポート、自動で完走
Webプロトタイプはアイデアを素早く検証できるが、コードは使い物にならない
プロダクトレバレッジが扱うのは「あなたがやりたいこと」と「あなたが届けられること」の間の溝だ。レベル1はWebプロトタイプツール(Lovable、Replit、Magic Patterns)を使って素早くプロトタイプを1つ作ること。ドキュメントよりもアイデアをはっきり伝えられるが、明確な限界がある——生成されたコードはあなたのプロダクトの実際のコードベースとは何の関係もない。
またStrideを例にとろう。以下は現在のプロフィールページで、ユーザーは解約経路がわかりにくいと不満を言い続けており、無料トライアルが終わっても自分のサブスクリプション状態がよくわからないという。
AIのWebプロトタイプツールを使えば、素早く改修案のモックを作り、ユーザーやステークホルダーに見せてあなたの案が問題を解決できるかテストできる。以下のアニメーションは、Webプロトタイプツールで作った解約フローだ。
- ドキュメントより直感的にアイデアを伝えられる
- ステークホルダー、ユーザー、社内チームに素早くコンセプトをデモできる
- 案が使えるか、本当に問題を解決するかを速く検証できる
- 裏側のコード自体には価値がない
- 実際のコンポーネント・ページ・データモデルについてほぼコンテキストを持たない
- テストが終わったらエンジニアが本物のコードをもう一度書き直す必要がある
Webプロトタイプツールはあなたの実際のコンポーネントやデータモデルについて理解が限られており、作られるものは現実からかけ離れている。テストが終わったプロトタイプを本物のコードに落とし込むには、もう一手間かかる。ここから次のレベルへとつながっていく。
AIにあなたの実コードベースの中で直接改修させる
レベル2は本記事全体の2つ目の重要ポイントだ。Claude CodeまたはCodexを使い、スクリーンショットや複雑なプロンプトに頼るのではなく、あなたのプロダクトの実コードベースを直接読み込んでプロトタイプを作る。生成されるインターフェースは実際のコンポーネントを使い、実際のデザイン規範に従っており、本番投入できるコードにずっと近い。
Webプロトタイプツールが生成するコードは独立していて、あなたのプロダクトの実コードベースとは関係がなく、テスト後はエンジニアが書き直す必要がある。コードベース・プロトタイプはClaude Code / Codexがあなたのプロダクトの実コードをベースに改修するもので、実際のコンポーネント・実際のスタイルを使う。テストが終わったものは、そのまま使えるコードにずっと近い。
同じStrideの解約の例で、今度はClaude Code / Codexに既存のコードベースを使わせて作らせる。改修は実際の設定ページに直接組み込まれ、実際のコンポーネントを再利用し、プロダクト自体のデザイン規範に沿っている。以下のアニメーションがそのコードベース・プロトタイプの結果だ。
このレベルではノートPC上でプロダクト全体を動かす必要はなく、エキスパート級のコーディング能力も要らないが、多少の技術的な土台は必要だ。1つはClaude CodeやCodexを使ってコードを書き、アプリを動かすこと。もう1つは、UIのみで完全なバックエンドを含まないコードベースを1つ用意すること。このコードベースはどう手に入れるか?エンジニアに頼んで、メインのコードベースに対して以下のプロンプトを走らせてもらう。
Create a new repo that contains all of the base UI elements, styles, routes, pages, and components for [list parts of the product you want included]. Create a mock data store that mimics the API data model and is stored locally. I should be able to run the resulting repo without any environment variables or backend services.
作り終えたら、新しいリポジトリを自分のPCにクローンすれば、動かしやすく、かつ本物のプロダクトを誤って壊す心配のないUI版が手に入る。エンジニアからは「1本のプロンプトで済むほど単純じゃない」と言われることもあるが、自分の実際のスタイルとコンポーネントの上でプロトタイピングする価値は十分にあり、筆者はこのハードルを何とか越える方法を探ることを勧めている。
agentに改修をマージ可能なPRとして直接作らせる
プロダクトレバレッジの最高段階は、agentにコードを本番環境へ提出させることだ——エンジニアがそのPRを受け取り、レビューしてプロダクトにマージする。このレベルはPMの技術的判断力を最も試される。どの改修なら安心してAIに直接PRを出させられ、どの改修は手を引くべきか、見極める必要がある。
筆者が挙げる例——課金まわりの改修はUIだけを触るもので、バックエンドのAPI・データ・イベントはすでに存在している場合、これは直接PRを出すのに向いている。しかし、その改修が新しいインフラを構築する必要がある場合や、別のチームとの統合が必要な場合は、自分で手を出すべきではない。判断基準は以下の通りだ。
| AIに直接PRを出させて良いもの | 手を引いてエンジニアに任せるべきもの |
|---|---|
| 文言の変更 | 新しいインフラが必要な改修 |
| 小さなUI/UXの調整 | 他チームとの統合がないと本番投入できない改修 |
| 既存のバックエンドロジックを再利用する画面の変更 | バックエンドAPI・データモデル・イベントに触れる改修 |
PMとして、「チーム内のエンジニアより出来の悪いエンジニアを演じる」ことに時間を使う意味はない。いつドキュメントを書くべきか、いつプロトタイプを作るべきか、いつPRを出すべきかを知っていることは、それらのタスクをこなす能力があることと同じくらい重要だ。
PMとして、チーム内の他の誰かより出来の悪いエンジニアを演じることに時間を使う意味はない。Colin Matthews / Lenny's Newsletter
3本目のはしご、原文には名前だけが残されている
フレームワークの冒頭では3種類のレバレッジが定義され、3本目はシステムレバレッジだった——AIの使い方を再現可能な手順に落とし込み、継続的に安定してAIに仕事をアウトソースし高品質な結果を得る、というものだ。しかし本文では、前の2本のように3段階への分解や実践事例が示されることはなかった。
筆者は個人レバレッジのセクションで1つ伏線を張っている——初稿の質はまだ完璧ではないかもしれないが、「システムレバレッジの話をするときにまたこの話に戻ってこよう」と。しかし記事が終わるまで、この項目は概念のレベルにとどまったままだった。本記事の素材はここまでとする。それは筆者の今後のコースや記事で展開されるかもしれない方向性のように見えるが、ここでは事実をそのまま伝えるにとどめ、代わりに内容を補うことはしない。
今日からできる最初の一歩
フレームワーク全体にこだわるより、まず一度動いてみるほうがいい。まずは2本のはしごそれぞれで自分がどのレベルにいるかを判断し、次にまだやったことのない動作を1つ選んで試してみよう。
- 上の3×3マトリクスを見ながら、自分が個人レバレッジ・プロダクトレバレッジのそれぞれで何レベルにいるかを書き出す。
- コネクタ・マーケットプレイス(Claude / ChatGPT / Gemini)で、PostHogやNotionのような高頻度で使うツールを1つ接続する。一度設定すればずっと有効。
- 本文第3節のタスクリストから1つ選んで練習する。たとえば「ある機能を実際に使っているユーザーが何人いるかを調べる」など。
- 結果に満足できなければプロンプトを調整しながらイテレーションを続ける。満足できたら、同じ会話の中でAIにこの流れをskillとしてまとめさせ、再利用可能な手順としてロックダウンする。
どのレベルが最適かは、目の前の作業でAIをどこまで深く使うべきかによって決まる。Colin Matthews / Lenny's Newsletter