プロダクトリリース · 小互解読

xAI、Grok 4.5を発表 性能はOpus 4.8に迫り、速度は約2倍・出力価格は約4分の1に

DeepSWEで3位、総合ランキング4位。Opus 4.8より高速かつ大幅に安価。
1 分でわかる要点
  • xAI が Grok 4.5 を発表。公式と Musk の言い分はどちらも「Opus 級」に近いが、売りはより速く・より低コスト。Cursor と共同で学習させ、コーディング・agentic・ナレッジワーク向けと位置づける。
  • DeepSWE 1.0 は 62.0% で 3 位、SWE Marathon は 29% で 1 位。第三者機関 Artificial Analysis の総合ランキングでは 4 位(スコア 54)、Coding Agent 指数は 76 で GPT-5.5 と並ぶ。
  • 出力は約 80 TPS で、Opus 4.8 のおよそ 2 倍の速さ。出力料金は 100 万 token あたり $6 で、Opus 4.8($25)の約 4 分の 1。AA 計測ではタスクあたりのコストが約 $0.31、ハルシネーション率は 54% まで上昇。
  • 料金は 100 万 input token あたり 2 ドル、output token あたり 6 ドル。すでに Grok Build のデフォルトモデルで、Cursor の全プランに組み込まれ、Word / PowerPoint / Excel の公式プラグインも公開。
  • 学習には数万枚の NVIDIA GB300 GPU を使用し、強化学習はソフトウェアエンジニアリングを中心とした数十万件のタスクをカバー。EU 圏はまだ利用不可で、7 月中旬の提供開始を見込む。
スタンスについて:本記事は xAI 公式のリリース内容の解読です。本文中のベンチマーク、80 TPS の速度、約 2 倍の token 効率、料金はいずれも xAI 公式が示した数値であり、一部は自己評価や自社が選んだ競合との比較で、第三者による独立した再現は行われていません。
1 リリース

xAI が新フラッグシップ Grok 4.5 を発表

xAI は 2026 年 7 月 8 日に Grok 4.5 を発表し、自社で現時点で最も強力なモデルと位置づけた。売りはコード記述・agentic タスク・ナレッジワークで、学習はコードエディタの Cursor と共同で行った。

Grok 4.5 は、フラッグシップ級の推論能力を、高速モデルのスピードとコストに詰め込んだ。80 TPS で動作し、公式によれば同種タスクの token 消費は主流フラッグシップモデルのおよそ半分。料金は 100 万 input あたり 2 ドル、output あたり 6 ドル。
なぜ注目に値するか:フラッグシップ級の推論、高速モデルのスピード、低価格。公式はこの 3 つを同じモデルに重ね、単位時間とコストあたりで得られる知能が最も高いと謳う。まずは実演から見ていく。
2 実演

一言で、動く太陽系をつくる

ベンチマークはひとまず置いて、何ができるかを見る。公式が挙げる例はこうだ。一言のプロンプトを与えるだけで、Grok 4.5 はエンドツーエンドで動作する three.js の太陽系シミュレーターを生成した。速度を調整でき、リアルな軌道と星空を備え、HUD 画面まで付いている。公式は、プロンプトがごく簡素でも、設計として完成度が高くそのまま使えるアプリを作れると強調する。

入力 · 公式のプロンプト原文
Make a beautiful simulation of the universe and solar system. should be sped up with adjustable time, realistic motion, orbits, stars. use threejs. Make the HUD well styled and conform to modern design principles.
Outline a 5-slide quarterly business review
美しい宇宙と太陽系のシミュレーションを作る。加速でき、時間を調整でき、リアルな運動・軌道・星空を持ち、threejs で実装する。HUD はスタイリッシュに仕上げ、現代的なデザイン規範に沿わせる。
Grok 4.5 が作った太陽系シミュレーションの実機映像(X の @DogeDesigner 投稿)。公式発表ページにも同様のインタラクティブ demo がある — 原文 Training 節

1 つの自然言語の指示から、コントロールを備えリアルタイムで動く完全なフロントエンドアプリまで一気に飛ぶ。こうした demo のほか、公式は手ごわい Rust や C / C++ のタスクも扱え、プロンプト記述から完成物までエンドツーエンドで通せると述べている。

2b 第三者テスト

同じ課題:プロンプト1つ+参考画像1枚で Three.js 地球ダッシュボードを再現

開発者 @hqmank が、以前 Fable 5 に出したのと同じ課題で Grok 4.5 を試した。プロンプト1つ+参考画像1枚で、Three.js の3D地球ダッシュボードを再構築するタスク。

本人の評価:ライティング、ガラスパネル、奥行き、余白が一致し、Three.js シーンは初回で正しく描画。フロントは想定以上。この課題では Opus 4.8 を上回り、上位は Fable 5 のみ、とのこと。

@hqmank のデモ動画。出典:X の投稿。単一課題・単一テスターの比較で、公式ランキングではない。
3 ベンチマーク

コーディングテストで実際に何位だったか

これは公式が公開した DeepSWE 1.0 のベンチマークだ。DeepSWE 1.0 は、AI が実際のソフトウェアエンジニアリングのタスクをどう処理するかを測る評価で、スコアはモデルが一度の回答(pass@1、チャンスは 1 回だけ。テストで消して書き直せないのと同じ)でタスクを正しくこなせた割合を見る。このランキングで、Grok 4.5 は 62.0% を取り、3 位につけた。

Grok 4.5 と Opus 4.8、GPT-5.5、Composer 2.5、Fable 5 のコーディングベンチマーク比較表
Terminal-Bench 2.1、SWE-Bench Multilingual、DeepSWE 1.0、SWE-Bench Pro の横並び比較。Grok 4.5 列を強調。一部は high/max/xhigh 設定。Multilingual は公式 5 チャート以外の補足行。
0%20%40%60%DeepSWE score (pass@1)66.1%Fable max64.31%GPT 5.5 xhigh62.0%Grok 4.555.75%Opus 4.8 max40.12%Opus 4.7 maxEval created by Datacurve, run with each model provider's harnesses by AA
0%20%40%60%DeepSWE score (pass@1)70.0%Fable max67.0%GPT 5.5 xhigh59.0%Opus 4.853.0%Grok 4.544.0%GLM 5.2mini-swe-agent harness run by Datacurve
0%20%Resolution rate (pass@1)29.0%Grok 4.526.0%Opus 4.8 max24.0%Fable max16.0%Opus 4.7 max
0%20%40%60%80%Terminal Bench 2.1 score84.3%Fable max83.4%GPT 5.5 xhigh83.3%Grok 4.578.9%Opus 4.8 max78.9%Opus 4.7 max
0%20%40%60%80%SWE Bench Pro resolve rate80.4%Fable max69.2%Opus 4.8 max64.7%Grok 4.564.3%Opus 4.7 max62.1%GLM 5.258.6%GPT 5.5 xhigh
上図は xAI 発表ページの公式 SVG をそのまま使用(5 種類のランキングを切り替え可能)。評価問題は Datacurve が作成。競合のスコアは各社が公開する system card やランキングから取得。

同じ発表ページには、コーディング関連のランキングがほかにもいくつか載っている。基準が違えば順位も変わり、1 位のものもあれば、もっと下のものもある。

SWE Marathon · 解決率 pass@1
29.0%
1 位(Opus 4.8 max 26.0% · Fable max 24.0%)
Terminal Bench 2.1 · ターミナル agent タスク
83.3%
トップ集団に肉薄(Fable 84.3% · GPT 5.5 83.4%)
SWE-Bench Pro · 解決率
64.7%
Fable max 80.4%、Opus 4.8 max 69.2% に後れを取る
DeepSWE 1.1 · mini-swe-agent
53%
1.0 より下位(Fable 70% · GPT 5.5 67% · Opus 59%)
以上の数値はいずれも xAI 発表ページ自身の図表による。DeepSWE 1.0 は各社の harness で走らせ、1.1 は一律 mini-swe-agent を使用。同じタスク群でもフレームワークを変えれば順位は跳ねる。
第三者 · Artificial Analysis

独立系の評価機関 Artificial Analysis は、リリース直後に総合スコアを出した(xAI 自社の図ではない)。

  • Intelligence Index はスコア 54 で総合 4 位。上にいるのは Fable 5、GPT-5.5、Opus 4.8 のみ。前世代の Grok 4.3 から 16 ポイント上昇。
  • Coding Agent Index(Grok Build 上で実行)はスコア 76。Codex 上の GPT-5.5 と並び、Claude Code 上の Fable 5 をわずかに下回る。
  • タスクあたりのコスト:Intelligence Index は約 $0.31 / タスク、Coding Agent Index は約 $2.49-2.59 / タスク(Fable 5 / Claude Code は約 $11.80、GPT-5.5 / Codex は約 $5.07)。
  • Coding Agent タスクの平均総 token は約 1.9Mで、Fable 5(7.2M)や GPT-5.5(6.2M)より大幅に少ない。
  • 弱点も明記されている。AA-Omniscience の正確率は 35% から 52% に上がったが、ハルシネーション率は 25% から 54% に上昇。知識は増えたが、間違えるときの自信も強くなった。

第三者や公式周辺からは、いくつかの背景も補われている。Cursor は xAI と共同で Grok 4.5 を学習させたとし、これは彼らにとって「ソフトウェアエンジニアリングだけにとどまらない」初のより強力なモデルだと述べる。Artificial Analysis や Musk の関連開示を引いて、Grok 4.5 のパラメータ数は約 1.5 兆で、Grok 4.3 の約 3 倍だとする報道もある(公式発表ページ自体にはパラメータ数の記載はない)。Musk の対外的な言い分は「Opus 級、ただしより速く・より省コストで・より安い」。SpaceX が 6 月に約 600 億ドルの株式で Cursor を買収した背景は、今回の共同学習の産業的文脈として複数のメディアに扱われている。

4 速くて安い

なぜ速くて安いのか

Grok 4.5 の差別化は、速度とコストの側に集中している。ベンチマークで 1 位は取れていないが、「フラッグシップ級の頭脳」と「高速モデルの出力速度・低価格」を一つにまとめた。

速くて安い

80 TPS の速度で出力し、業界でいう「高速モデル」の水準に達する。公式によれば同種タスクでの token 効率は最新のフラッグシップモデルの約 2 倍。つまり半分にも満たないステップと token で同じ問題を解けるという。

公式の Token efficiency 比較図:Grok 4.5 約 15954 tokens vs Opus 4.8 max 約 67020
公式発表ページの Token efficiency 図:SWE-Bench Pro タスクの平均出力 token は、Grok 4.5 が約 15,954、Opus 4.8 max が約 67,020 で、約 4.2 倍の差。
80 TPS
出力速度は「高速モデル」の水準。TPS は 1 秒あたりに生成する token 数で、値が大きいほど出力が速い。
Opus 4.8 max
SWE-Bench Pro
67,020
Grok 4.5
15,954
基準:SWE-Bench Pro で同種タスクを完了する際の平均出力 token 数。約 4.2 倍の差。公式の本文では別途「約 2 倍の token 効率 / ステップ半減」とまとめている。2 つの表現は基準が異なるため、数字は図注を優先。

agentic な場面では、これは同じ token 予算と時間の中で、より長い自律実行、より多くのやり取りを支えられることを意味する。

5 どう学習させたか

学習にどう物量を投じたか

この能力はどう作り込まれたのか。Grok 4.5 は数万枚の NVIDIA GB300(NVIDIA の最新世代、大規模 AI 学習向けの高性能 GPU チップ)で学習させた。演算力を積むだけでなく、xAI はデータの選別とクレンジングに重点を置いたという。重複除去、データへの品質スコア付け、分野ごとの選別を行い、学習データを広くカバーしつつ信号密度も高くした。

強化学習のステップでは、数十万件のタスクをカバーし、複数ステップのソフトウェアエンジニアリングを中心に、自動採点とモデル採点で評価する。彼らの学習アーキテクチャは高度に非同期だ。1 つの agent が自力で何時間も走り続けられる一方、数万枚の GPU は学習を続けている。

膨大な生データ
重複除去 · 品質スコア
分野で選別
数万枚の GB300
事前学習
数十万件のエンジニアタスク
強化学習(非同期 rollout)
Grok 4.5
6 オフィス自動化

コード記述から Excel・PPT・Word へ広がる

Grok 4.5 の力はコード記述だけにとどまらない。今や Grok Build(xAI のコマンドラインのコーディングツール)のデフォルトモデルであり、同じ実力が Excel・PowerPoint・Word の 3 点セットにも広がっている。

オフィス自動化

3 つの場面にそれぞれ具体的なやり方がある。Excel はネットで資料を調べながら複数シートのモデルを組み、後で参照するためのメモまで残す。PowerPoint はネイティブ図形で複雑な図解を描き、直感的なスライドの中身を組み立てる。Word は筋の通ったフォーマルな文章を書く。

📊

Excel

  • ネットで調べてからモデル化
  • 複数シートにまたがる数式
  • 後で参照するメモ / 注釈を残す
📽️

PowerPoint

  • ネイティブ図形で複雑な図解を描く
  • 直感的なスライドの中身を設計
  • プロンプトどおりに構成一式を組む
📄

Word

  • 筋の通ったフォーマルな文章を書く
  • 公文書調の書き言葉に対応
PowerPoint のサンプルプロンプト
5 ページの四半期業務レビューのアウトラインを

Word、PowerPoint、Excel はいずれも公式プラグインが公開済みで、Microsoft のアプリストア(Microsoft Marketplace)からインストールできる。

7 価格と入り口

いくらか、今どこで使えるか

価格と入り口について。Grok 4.5 は 100 万 input token あたり 2 ドル、output token あたり 6 ドル。前述の token 節約も重なり、同種のコーディングタスクの実際の請求額はさらに一段下がる。

$2
100 万 input token あたり
$6
100 万 output token あたり
4.2×
SWE-Bench Pro で出力 token を節約
80 TPS
出力速度

同格のフラッグシップの公開価格と比べてみる(単位:100 万 token あたり)。

モデル入力出力
Grok 4.5$2$6
Opus 4.8$5$25
GPT-5.5 / 5.6$5$30
Fable 5$10$50
競合の価格は各社の公開価格やメディアのまとめ(The Decoder など)による。実際の請求額はキャッシュ割引や effort の段階にも左右される。

スペック面では、Artificial Analysis は現在のコンテキストウィンドウを 50 万 tokenと記録している(Grok 4.3 の 100 万から一段縮小)。Musk はその後 X で「おそらく来週には 100 万に戻す」と述べた。モダリティはテキスト + 画像入力、テキスト出力。

今どこで使えるか。Grok Build、Cursor の全プラン、xAI のコンソール(console.x.ai)はいずれも提供済みで、API key を 1 つ取れば数行のコードでつなげる。OpenRouter、Hermes Agent などもリリース当日に順次組み込まれた。

公式 API 呼び出し例(curl)
curl -s https://api.x.ai/v1/responses \
  -H "Authorization: Bearer $XAI_API_KEY" \
  -H "Content-Type: application/json" \
  -d '{
    "model": "grok-4.5",
    "input": "Find and fix the bug, then explain it: function median(a){a.sort();return a[a.length/2]}"
  }'

Artificial Analysis はスペックもいくつか記録している。キャッシュヒットは約 $0.5 / 100 万 token(標準価格からさらに約 75% 引き)。入力が約 20 万 token を超えると単価は倍。現在のコンテキストウィンドウは 50 万 token(Grok 4.3 の 100 万から一段縮小、Musk はおそらく来週には 100 万に戻せるとする)。視覚入力と設定可能な推論は維持。Cursor 側は初週の利用量が倍増したとし、Grok 4.5 と自社の Composer シリーズは規模の異なるモデルで、Composer 2.5 は引き続き残すと強調している。

⚠️ 現時点では EU 圏は xAI のいかなる製品や API でもまだ利用できず、公式は 7 月中旬の開放を見込む。また当面のあいだ、Grok Build と Cursor 内の Grok 4.5 は無料で使える。

8 何をもたらすか

今回のアップデートは結局何をもたらすか

これらを立場の異なる人に当てはめると、今すぐ得られるメリットはおおむね次のとおりだ。

  • 個人開発者

    一言のプロンプトで、動く完全なアプリを直接生成でき、アイデアからデモ可能なプロトタイプまでの道のりが速くなる。コーディング時も Grok Build や Cursor 内で直接これに切り替えられる。

  • オフィスのナレッジワーカー

    自動でモデル化・作図・文章作成ができる agent が 1 つ増える。Word / PowerPoint / Excel のプラグインは公開済みで、ネット調査を要する複数シートの Excel モデリング、PPT の図形描画、公文書作成といった仕事をこなせる。

  • API 開発者

    100 万 token あたり 2 / 6 ドルの料金に、約 2 倍の token 効率が重なり、同じ予算でより多く・より長い agentic な自律タスクを走らせられる。

Overall, Grok 4.5 delivers the highest intelligence per unit of time and cost. xAI『Introducing Grok 4.5』公式原文
本記事は xAI 公式リリースページ『Introducing Grok 4.5』(2026 年 7 月 8 日、x.ai/news/grok-4-5)をもとに解読・整理したもの。公式図のコーディングランキング、80 TPS、SWE-Bench Pro の token 数、料金 $2/$6 は同ページによる。Artificial Analysis の Intelligence / Coding Agent 指数、タスクあたりのコストとハルシネーション率は AA の公開発表による(The Decoder / Latent Space などの二次報道と照合)。競合の公開価格は各社の価格とメディアの対照からまとめた。ベンチマークの棒グラフと token 効率図は公式リリースページの SVG / スクリーンショットから取得。太陽系は解読站が原文の記述に沿って描いたイメージで、完全なインタラクションは原文で。